きらめく星と沈黙の月
「…やっぱなんでもない」


言えない。


桜子から野球を取り上げた俺が、今さら誘えない。


「変な奴」


桜子は俺なんか気にも留めず、呑気にアクビを連発する。


「そういやさ、7組の女の子にコクられたんでしょ?そのあとどうしたの?」


7組の女の子?


どの子が7組の子かは知らないけど、告白はすべて断っている。


野球優先の男と付き合ったって楽しくないだろうし、そもそも俺自身が恋愛に興味がない。


「断ったけど、なんで?」


桜子が俺のそういう話に興味があるのが意外だった。


「別に。学年1可愛い子をフる大馬鹿者がホントにいるのか気になっただけ」


「ふーん…。そもそも、顔だけで付き合えるわけないだろ」


学年1可愛いって言われてる子がどの子なのかも分からないけど、何となく桜子に誤解してほしくなかった。


俺は顔だけで選んだりしない。
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