好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
「うわぁー」
叫び声とともに芝生の上に倒れ込む大地。

「いいか、しばらくそこで反省しろ。ちゃんと反省するまで入れないからな」

俺は、久しぶりに本気を出してしまった。
これでも普段は人前で本心をさらけ出すことはしないのに、今は無理だ。

「何でだよ、おじさんには関係ないじゃないか」
俺に向かって叫ぶ大地。

「関係ある。俺は大地のことを大切だと思っている。だから言うんだ。気に入らないことがあるなら逃げ出したりせずにちゃんと言え。逃げていても何も解決しないぞ」
「そんなこと・・・」

大地だってわかっているはずなんだ。
ただ引くに引けなくなっただけ。
わかっているんだが・・・

「まずは今日一日自分の行動を思い出してみろ」
じゃあなと窓を閉めて、カーテンも閉めてしまった。

「大丈夫なの?」
琴子おばさんが心配して覗こうとするのを俺は止めた。

礼は何の文句も言うことなく、ただ窓の側に座った。
そのうち外から大地の泣き声が聞こえてきて、礼も泣いているように見える。

平石家の広い庭は真っ暗できっと小学生には怖いだろう。
いくら九月とはいえ薄着のまま外に放り出したから寒いのかもしれないし、何よりも一人ぼっちの心細さはかなりつらいはずだ。
それでも、俺は大地がちゃんと謝るまで許すつもりはない。
悪いことをすれば叱られるんだとわからせないといけない。
もしも、このことが原因で大地に嫌われても仕方がない。
この時俺は腹をくくっていた。
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