好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
背負うものと選ぶ道

再会…萌夏

どれだけ時間がたっても寂しさがなくなることはない。
会えないからこそ、切なさも愛しさも大きくなっていく気がする。
思い出すのは遥との楽しい思い出で、自分がどれだけ遥のことを好きだったのかと今更ながら実感した。

「萌夏さま、ここから先はおひとりがよろしいですよね?」
久しぶりの外出に同行してきたSPさんが声をかけてくれる。

「そうですね。ホテルから出るつもりはありませんし、どこにも消えませんから一人にしてください」

まさか自分がSPを連れて外出する身分になるなんて思ってもいなかった。
さすがにお屋敷の中では警備が着くことはないけれど、こうして外出するときには必ずSPが付く。
初めは違和感があって困ったけれど、一ヶ月近くなる今では慣れてきた。

「今日お会いになるのは、お友達と伺っていますが・・・」
私の担当SPとしてついてくれている山本さんが言いにくそうに言葉を濁した。

「ええ、そうです」

山本さんは40歳くらいの男性。
鍛えられた体と強面の表情のせいで落ち着いて見えるから、実際はもう少し若いのかもしれないけれど、どちらにしても年上のおじさまって感じ。そんな人にわざわざ彼氏ですって言いにくかったから、友達ですとごまかしてしまった。

「男性ですか?」
「・・・ええ」

今から、約一か月ぶりに遥に会う。
黙っていても遥が現れればわかることと、私は否定しなかった。

「わかりました。では、近くに控えておりますので」
「はい、お願いします」


山本さんが距離をとってくれたのを確認し、ホテルのフロントへ。
名乗ったわけでもないのにエレベーターへと案内された。
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