好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
「礼、いい加減直せよ」
「あ、ああぁ」

最近、プライベートでは社長と呼ぶんじゃないと何度も注意されている。
わかってはいるんだけれど・・・

「俺達だけならいいけれど、大地が真似するだろ?」
「うん」

確かに何度か大地が社長って呼んでいるのを聞いたことがある。
きっと私の真似をしたんだろうと思う。

「おじいちゃんでもお義父さんでもいいから仕事以外ではちゃんと呼ぶようにしてくれ」
「はい」

そういえば、空も大地の前では社長のことをおじさんと呼ばなくなった。
大地に向かっては「じじ」とか「おじいちゃん」なんて言っているし、直接呼ぶときもおじさんとは言わない。
さすがに「お父さん」とは呼べないみたいでぎこちない感じだけれど、気を付けてくれているのはわかる。

「空、ありがとうね」

まだ若いのにいきなり小学生の親になるなんて、覚悟のいることだと思う。
生意気盛りの子に戸惑うこともあるだろうに、ちゃんと大地を受け入れてくれるのがありがたい。
だからこそ、私は柄にもなく恋をしてしまったんだ。

「バカ、行くぞ」
再び歩き出した空。

私は駆けよって腕を絡めた。
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