好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
玄関ではなく縁側から家を出た私。
宮邸の門の前には迎えの車が来ていて、そこまでの道を使用人やここ数ヶ月で親しくなった人達が並んで待っていた。

「まあ萌夏さん、素敵ですよ」
いたるところから上がる声。

ゆっくりと歩きながら一人ずつに会釈をし、車まで行ったところで振り向いておじいさまとおじさまにもう一度頭を下げた。

結婚なんて個人のこと。
当人同士がよければそれでいいと思っていたけれど、こうしてみんなから祝福してもらうのはやはりうれしい。これだけの人に祝ってもらったからには幸せにならないといけないとも思う。

「幸せになります」
誰に言うでもなく、私は口にしていた。
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