好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~

晴れの日…遥

「萌夏ちゃんとっても綺麗だな」

控室に入ってきた空が挨拶もそこそこに褒めてくれた。

「ありがとう」

お互いに屈折した性格のいとこ同士。
一見正反対に見えるが、意地っ張りなところも、わがままなところも、血のつながらない親にコンプレックスを抱えて素直になれないところもよく似ている。

「さすが宮家の式だけあって厳かだ」

宮家縁の寺院を貸切って行われる婚儀。
豪華というよりも厳粛で荘厳な雰囲気だ。

「お前たちの式もよかったぞ」
「そうか?」

先月、年末の忙しい時期に行われた空と礼の結婚式。
郊外の小さな教会で身内だけが集まり、俺も萌夏もうちの両親も参列した。
シンプルだけれど仕立てのいいウエディングドレスを着た礼は、子供がいるとは思えないほど綺麗で初々しかった。

「礼のあんな幸せそうな顔初めて見たよ」
長い付き合いの俺は素直に口にしてしまった。

「ふーん、俺の前ではいつも幸せそうだぞ」
少しだけ不機嫌になった空。

ククク。
面白い。あの空がやきもちを妬くなんて。
俺は吹き出したいのを必死にこらえた。

十代の頃、悪い男ばかりにつかまっていつも泣いていた礼が気になって仕方なかった。
まだ子供だった俺から見ても、なんて男を見る目がない奴だと呆れるほど。
だから、ずっと心配だったんだ。
それが、

「礼と空が夫婦ねえ」
何度考えてもおかしくて、声に出てしまった。

「何だよ」
文句あるのかよと、空は俺を睨んだ。
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