好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
「お父さん嬉しそうにしていらしたね」
「そう、ですか?」

今まで一度も会った子とのない孫に今更会ってうれしかったんだろうか?
本当に会いたいのなら、チャンスはいくらでもあったように思う。

「桜ノ宮の血を引くの孫は君だけだから、感慨もひとしおなんだろうと思うよ」
「私だけ?」
「うん。僕たち夫婦には子供がいなくてね」

ふーん。
待って、もしかして

「私がここに連れてこられたのって、後継者問題が関係ありますか?」
怖いなと思いながらも、聞かずにはいられなかった。

桜ノ宮の長女としてこの家を継ぐはずだった母さんは家を出てしまった。
妹の葉月おばさまが結婚して後を継いだようだけれど、子宝には恵まれなかった。
だから、母さんが生んだ娘の私をってこと?まさか、そんなあ・・・

「違うよ。後継者は分家から養子をもらうことになっているから心配ない」

はあ、よかった。
でも、じゃあなぜ?

「おじさま、私がここに連れてこられた理由を教えてください」
もう待てない、はっきりと聞かないことには何もできない。

「うん、そうだね」
おじさまは少しだけ姿勢を正しまっすぐに私を見てから、話しだした。
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