好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
ことの発端は今日の夕方かかってきた学校からの電話。

「大地君が友達と喧嘩をしてしまいまして」
「はあ」
申し訳なさそうに言う担任の先生に、私も相槌を打つことしかできなかった。

きっかけはからかわれた友達をかばっていじめっ子に向かって行ったことらしい。
原因はいじめっ子にある訳で、大地が悪いわけではない。
でも、もみ合う中で手も足も出てしまった。
先生から見れば、大地もいじめっ子も同じ程度の打撲にしか見えなかったそうだが、
「それで、怪我って言うのは?」
「かすり傷と打撲程度に見えます。しかし」
困ったなと言葉を止めた先生。

相手の子は先生の前で、ここが痛いあそこが痛いと大騒ぎして泣き出したそうだ。

「もともと大地君が悪いわけではありませんし、手が出たのはお互い様なので・・・大地君だけが責められるのはおかしいと思うのですが・・・」

それでも、大地に叩かれけられて体が痛いと訴えた子がいる以上、謝るのは大地の方になる。

「僕からも事情を説明しておきますし、子供同士のけんかですので謝罪って言うのはおかしいと思うのですが、お母さんの方から一度連絡を入れていただけますか?」
決して一方的に謝る必要はありませんと強調しながら、先生は相手の連絡先を教えてくれた。

私はすぐに電話を入れ、相手の子のお母さんに謝ったが・・・

「謝罪があったことは主人に伝えます。今はまだ大地君に暴力を振るわれたことへのショックと殴られた痛みで横になっていますので」
いかにも大地が悪いように言われ、さすがに傷ついた。
いじめっ子はあなたの子でしょうと言いたいのに、言えなかった。
本当に、私はダメな母親かもしれない。
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