豆腐と私の50日

 EP.8

 「すいません。遅刻しました。」

 三人横並びに教室後方から入室する。

 白いチョークでびっしりと記された黒板の前には、「またか。」と呆れた表情を満々に浮かべる話題のみっちーが片足に重心を大きく乗せ、こちらに目を向ける。

 「お前ら。何回目だ。言ってみろー。」

 怒る気配のない声色を察知して、春斗が答える。

 「何回かはわかりませんが、結構。いや、かなりしてしまっているのではないでしょうか!!」
 
 クラスに笑いが起きる。
 それも、クスクスではなくゲラゲラとした。
 そこまで面白い話だったかと私は疑問に思った。

 「さっきな。皆と賭けの話してたんだよ。誰が最初に話し始めるかって。」

 「賭けですか?それはどういった?」

 半笑いで春斗が投げかける。

 「浜辺沙紀が最初に話せば春斗だけ。田辺頼葉が話せば春斗だけ。」

 「ちょっとみっちー。そりゃないよ!!」

 体を大きく動かして、クラスにまた笑いを起こした。

 「あ、でも待って。俺の場合は?」

 「知りたいか?それはな。」

 
 
 「…………………………――。」

 クラスに大歓声が起こる。

 まさかの内容に、私は席に着くのが二人よりも遅れた。

 
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