オスの家政夫、拾いました。0. プロローグ
「『働く女性を笑顔に』。これが我が社のモットーでね。ここの家政夫たちはみなそのため一生懸命仕事をしている、しっかりものばかりだよ。いつでも安心して家事を任せられるよう、会社からも努力するので…これからもぜひよろしくお願いします」

「あ、こちらこそ…よろしくお願いします」


今まであった男たちはすべて「自分を笑顔にしてくれ」と求めるばかりで、誰も「君を笑顔にしてあげる」とは言ってこなかった。だからこそMr.Pinkの今の発言は、どこか遠い世界のもののように聞こえる。慣れない服装と慣れない言葉まで、なにもかもが現実離れしているように思えた。


(やはり、ここの男たちはみな変わっている…)

「そして、相談してくれた長期契約の件だが…ハニーは『入居家政夫』には興味あるかな?」

「入居…ですか?」

「そう。言葉通り、家政夫がクライアントの家に入り、そこで寝泊りをしながらより細やかな家事代行を引き受ける。値段的にもよりリーズナブルなシステムだが。いかがかな?」
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