白鳥学園、いきものがかり
「全く。素人相手に何をムキになってるんだ?」
「か、かんとく…!」
さっきの人だ。
やれやれと左右に首を振りながら間に入って来た。
「言っておくけど、君は芸能界じゃ普通だし。なんなら石ころと変わらないから」
「なっ、!?」
「確かに見た目は可愛いさ。一般人よりも多少はな。
…でもこのお嬢さんには負けるよ。
見た目は同じぐらいでも、性格と性根の悪さは最悪だね。
今はテレビに出られてるかもしれないけど。
その内消えるよ、君。
他にもいい子沢山いるからね。
性格も良くて、可愛い子ぐらい」
「………、」
俯く猪花ゆかさんを、監督は素通りし私の前に来た。
私の手を取りニコニコと笑う。
「いやあぁ~…本当に助かったよ!まさか予定していた撮影内容より良いのが取れると思わなかった!
…所で、君!芸能界に興味無いかい!?」
え…?ええ…??
オドオドとしている私と爽やかな笑顔を向ける監督の、二人の真上に人影が。
「……紬は駄目だ」
「る、るい…!」
まさかの監督の手をバチンと叩いた。
笑う監督と青ざめる象山さん。
「あはは!ルイくんいいね!その表情!
お嬢さん。もしまたCM撮影かドラマ撮影がある時、スタジオに遊びに来てくれ。その方がルイくんにとっては良さそうだ」
手渡されたのは一枚の名刺。
後から聞いたけど。
この監督さん…かなり凄い人だったらしく…、
滅多に名刺を渡したり、スカウトする事は早々無いとの事。
どうやら私は、この名刺一つでテレビ局の出入りが可能になってしまったらしい。