白鳥学園、いきものがかり


累に肩を抱かれ電車に乗る。
満員電車では学生の話し声が聞こえる。

「ねえ!ルイのCM見た?」

そんな話が聞こえてくるんだ。


「あの相手役誰なんだろうな?後ろ姿で綺麗な子だってわかるよな」


ビクッ


「確かに綺麗だけどぉ~…、推しにあんな顔させる女って考えたら嫌だわぁ」

「分かる~。だってあれ本気で惚れてる顔じゃん」

「ってことは本物の彼女とか?えー!無理無理!私のルイで居てよ~!」


……バレたらどうなるんだろう?
私だって、もしバレたら…。


「紬、俺見て」


累の声がして上を向いた。
マスクを下げ、私だけに見えるルイの姿。


「好きだよ。紬、今日も可愛い」


挨拶のように言う、その台詞に私の鼓動が早くなった。


「…っ、バレたら…」

「俺はバレない」


そう言うと、私の耳元に近付いた。



「紬がバレたら、責任取って俺の彼女だって言ってあげる」



っっ…、


「……累、ふざけないで」

「本気。俺、紬の事好き。だから…、早くバレて欲しい」


微笑む累。私は顔を逸らした。

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