白鳥学園、いきものがかり
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………うそ。
元気を取り戻した私は家でテレビをつけていた。学校へ行く前の時間確認の為に何時も付けている事だった。
そこで流れたはのルイのCM。
私の名前を呼び、私の後ろ姿が映っている。
ガシャンッ、
薬箱が落ち、慌てて拾い上げる。
しかし手は震えている。
そんな…全国放送されるなんて聞いてない…。
「紬?」
その声に私は慌てて振り返った。
っ…!
「累…」
心配そうに私を見る累がいた。落とした薬を拾ってくれる累に私は意を決して話した。
「こんな…テレビに出るなんて聞いてないっ…!」
これはあの時の物だ。累の忘れ物を届けに行った日の…。累が「頷いていればいい」と言ったあの時。きっと私が出る事が決まっていたんだ。
「紬、興奮するとまた倒れる」
「話を逸らさないで。累、これはどういう事なの?」
「……紬が自分で許可しただけ。俺は出る事が決まってたから」
そんな事を聞いているんじゃないの。
「私は…こんな事になるなんて知らなかった…」
みんなを遠目から見ているだけで良かった。もう距離を取ろうって決めた。それなのに…。
累は私の涙を拭うと抱き寄せた。
「っ…離して…」
「無理。紬、触りたい」
「ふ、ふざけないで…」
「俺はふざけてない」
押し返せない。私の覚悟も全部水の泡だ。