白鳥学園、いきものがかり

e x p l o d e



………うそ。

元気を取り戻した私は家でテレビをつけていた。学校へ行く前の時間確認の為に何時も付けている事だった。

そこで流れたはのルイのCM。


私の名前を呼び、私の後ろ姿が映っている。


ガシャンッ、
薬箱が落ち、慌てて拾い上げる。

しかし手は震えている。


そんな…全国放送されるなんて聞いてない…。


「紬?」


その声に私は慌てて振り返った。


っ…!


「累…」


心配そうに私を見る累がいた。落とした薬を拾ってくれる累に私は意を決して話した。


「こんな…テレビに出るなんて聞いてないっ…!」


これはあの時の物だ。累の忘れ物を届けに行った日の…。累が「頷いていればいい」と言ったあの時。きっと私が出る事が決まっていたんだ。


「紬、興奮するとまた倒れる」

「話を逸らさないで。累、これはどういう事なの?」

「……紬が自分で許可しただけ。俺は出る事が決まってたから」


そんな事を聞いているんじゃないの。


「私は…こんな事になるなんて知らなかった…」


みんなを遠目から見ているだけで良かった。もう距離を取ろうって決めた。それなのに…。

累は私の涙を拭うと抱き寄せた。


「っ…離して…」

「無理。紬、触りたい」

「ふ、ふざけないで…」

「俺はふざけてない」


押し返せない。私の覚悟も全部水の泡だ。


< 155 / 199 >

この作品をシェア

pagetop