白鳥学園、いきものがかり
「────────先生、」
いつの間にか空いていた生徒指導部のドア。睨み付けるように立っていたのは累だった。
「白狼…お前は呼んでいない。早く教室に戻れ」
「これ、ばら撒いていいんだ?」
累のスマホには、私に詰め寄る実くんが写っていた。
さっきまでのやり取りが写真に収められていたのだ。
「…ッ、何を」
「先生が生徒に、手出すの、御法度でしょ」
角度的と画角的に実くんが私を襲おうとしているように見える。
「紬、行こう」
「る、るい…待って。きゃっ!」
ふわりと浮いた身体。
累にお姫様抱っこをされている。
「白狼!!お前は…どれだけ紬を追いこめば気が済むんだ!?」
実くんがそう言うと累は振り返って笑う。
「お前うざい。俺は追い込んでない」
実くんがどうして怒っているのか。累がどうしてそんな事を言うのか分からない。
「っ…げほ!」
咳き込む私に累が渡してくれたのは吸引器。
……いつの間に持ってきてたんだろう。
慌てて駆け寄ろうとした実くんを睨み付ける累。
「お前がこうさせた。自覚、したら?」
「…ッッ!」
累はそう言うと私を抱えたまま部屋を出た。