白鳥学園、いきものがかり
***


「スグル!待って!!」


卯西美咲が何度も傑を呼んでいた。しかし傑は見向きもしない。


「っ…!スグル!!」


美咲が傑の前に出た。面倒くさそうに眉間に皺を寄せる傑。


「…撮影は全部終わらせた。ドラマも映画も雑誌も全部」

「ええ。そうね。私の言う通りスグルは頑張ってくれたわ…だから食事に、」

「なら用は無い。俺は帰る」

「ちょ…ちょっと待ってってば!」


美咲を押しのけ歩き出す傑。ふらつく彼女を支える事もせず、仏頂面のまま早歩きで出口まで向かう。

そんな傑を止めたのはあるテレビ。
大きなテレビに映し出されていたのは…、

傑が大嫌いなあの話題のCM。


息を切らし追いついた美咲も同じ画面を見る。


「今話題のルイのCMね」


傑は大きく舌打ちをした。

これを見るたびに苛々が増していく。『紬』と言う名を聞くのも。その『紬』の後ろ姿も。全部が腹立たしい。


「ねぇ…もしかしてこの子……、あの子じゃない?」


美咲のその言葉に傑は睨み付ける。


「紬って言っているし、髪型も似てる気がするわ」

「……何が言いたい」

「だから…もしかしてあの子が”ルイの彼女”なのかなって思って」


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