白鳥学園、いきものがかり
保健室に連れてこられた私はベッドに横にされた。
「累…私、教室に…」
「ダメ、体調悪いの分かるよ」
額に手を当てる累。
どうやら熱は無いみたいで累がホッとしてる。
「飲み物買ってくる。待ってて紬」
そんな事までしなくていいのに…。
ニコッと笑って累は出て行った。
実くんの言葉が何度も繰り返す。
”お前の身体はロンドンまで耐えられるのか?”
本当は今すぐ行きたい。けれど…その通りだ。
ガラッ、
……累?もう帰って来たの?
「先生。少し休み…あれいない」
………じゃない。
その声の人は真っ直ぐに私の居るベッドに近付くと、勢いよくカーテンを開けた。
「あっ、」
「…っっ?」
赤茶色の髪の男の人だった。整った顔立ちをした人で……何処かで会ったことがある気がした。
「……ごめん。てっきり誰も居ないのかと」
「え?…あ、いえ…」
私も反応しなかったから。
その人は笑うと私の横に座っていいかと聞いて来た。頷くと彼は隣に座り自己紹介を始めた。
「僕は紫虎 庵、三年で生徒会長をしてるんだ」
生徒会長さん…!
「すみませんっ」
「いいよ。僕が悪いから。…ここはね、使われて無くても閉まってるから、今回もそうだと思っちゃって。休んでたのにごめんね」
礼儀正しくて優しい先輩だ。
……狛犬先輩とは大違い。