白鳥学園、いきものがかり


保健室に連れてこられた私はベッドに横にされた。


「累…私、教室に…」

「ダメ、体調悪いの分かるよ」


額に手を当てる累。
どうやら熱は無いみたいで累がホッとしてる。


「飲み物買ってくる。待ってて紬」


そんな事までしなくていいのに…。

ニコッと笑って累は出て行った。


実くんの言葉が何度も繰り返す。
”お前の身体はロンドンまで耐えられるのか?”

本当は今すぐ行きたい。けれど…その通りだ。


ガラッ、


……累?もう帰って来たの?


「先生。少し休み…あれいない」


………じゃない。

その声の人は真っ直ぐに私の居るベッドに近付くと、勢いよくカーテンを開けた。


「あっ、」

「…っっ?」


赤茶色の髪の男の人だった。整った顔立ちをした人で……何処かで会ったことがある気がした。


「……ごめん。てっきり誰も居ないのかと」

「え?…あ、いえ…」


私も反応しなかったから。

その人は笑うと私の横に座っていいかと聞いて来た。頷くと彼は隣に座り自己紹介を始めた。


「僕は紫虎 庵(しくいおり)、三年で生徒会長をしてるんだ」


生徒会長さん…!


「すみませんっ」

「いいよ。僕が悪いから。…ここはね、使われて無くても閉まってるから、今回もそうだと思っちゃって。休んでたのにごめんね」


礼儀正しくて優しい先輩だ。
……狛犬先輩とは大違い。

< 164 / 199 >

この作品をシェア

pagetop