白鳥学園、いきものがかり


────────この人。
やっぱり何処かで見た事ある気がする。

気のせいかと思ったけれど…何処かで…。


「僕の顔に何か付いてる?」


凝視し過ぎた。


「い、いえ…その…多分人違いです」


言ってみて違っていたら恥ずかしいし…。ここは何も言わないでいた方がいいかなって。

紫虎先輩が今度は声に出して笑った。



「ううん。人違いじゃないと思うよ?」



…え?それってどういう意味?


「紫虎先生…幼い頃に診てもらってたのは君だよね?雲雀紬ちゃん?」


その瞬間、一気に記憶が蘇った。

幼い頃の担当医だった紫虎先生の息子は、よく私の遊び相手になってくれていた。


「いおちゃん…?」

「正解。久しぶりひーちゃん」


嘘…!

久しぶりに会った、いおちゃんに喜びが溢れる。


「何年振りかなっ?」

「うーん…8年とか9年振りかな」


わあ!もうそんなに経ったんだ!


「懐かしいね…!覚えてる?昔追いかけっこしたよね…!」

「……うん。そうだね。僕が誘って…ひーちゃんに苦しい思いさせたね」


………あっ、
そうだ。あの日に私は喘息を発症させたんだ。

そして病院を移動することになって…紫虎先生やいおちゃんとも会えなくなったんだ。


「あの時はごめんね」

「そんな…いおちゃんのせいじゃないよ!」


子供だったから。大人に言われた「走ってはいけないよ」は聞こえてなかった。きっとその時にはもう…私は喘息になっていたのかもしれない。
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