白鳥学園、いきものがかり

いおちゃんが微笑むと私の手を握っていいか、と聞いて来た。私は迷わず頷く。


「いおちゃんは?体調大丈夫?」


同じ病棟にいて仲良くなった。

最初の頃は常に怒り顔だったから、話しかけるの凄く怖かったのを覚えてる。


「うん。僕は大人になるにつれて良くなってきたから」

「そっかそっか!良かった!」

「ひーちゃんは…、」


いおちゃんの手が私の頬を撫でる。心配そうに見つめられてしまう。


「大丈夫だよ。前よりは良くなったから」

「顔色がこんなにも悪いのに?」


それは…いつもの事だから。

服用する薬が沢山あるから、合わさると副作用が出る物もある。でも片方を飲まないなんて選択肢は私には無いから……。


「……綺麗になった」

「ふふ。それを言うなら、いおちゃんだって」


もう会えないかと思っていた。
────────最初のお友達。


カツン、床に缶が落ちた音がした。


累がドアの所で立っている。何事かと驚く私の所へ足早に近付いて来た。そして、いおちゃんの手を弾き返し、拳を振り上げた。


……っ!?

胸倉を掴む腕にしがみついた。


「累!」

「…紬、こいつ、誰」

「いおちゃ…紫虎生徒会長だよ!」

「生徒会長…手、繋いでたのは?」

「…僕達は知り合いなんだ。同じ病室で過ごしてた事があるだけだよ」

「病室?紬は一人部屋だった」

「それより前の病院だよ。僕と雲雀ちゃんは同じ病気を持っていた事がある」


累も誰も知らない、前の話。

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