白鳥学園、いきものがかり
突然の事で思考が停止した。
触れ合った唇、息遣い。
────────っ、!!
累の身体を押し返し、唇を袖で拭いた。
今…なんて言ったの?彼女なんて…あり得ない。それにキス…まで。
「紬、なんで?」
私の腕を掴み首を傾げているのは累…じゃなくルイだ。
「い、いやっ…」
「なんで?俺変な事してない」
……………してるじゃない。
急にCMなんて出されて、バレたらいいのになんて簡単に言って、私にキスをした。……そんな事をしているのに、”変な事してない”なんて嘘ばっかり。
「俺、ずっと言ってたよ。紬が好きって」
「それは……幼馴染みだからでしょ…」
累はまたきょとんとした後で口を開いた。
「俺、そんな事一度も言った事無い」
…………っ、
”紬、好き。ずっと好き”
”紬、今日も可愛い。好きだよ”
そう言ってた時累は…常に真面目に言っていた。
一言も幼馴染み、なんて言われた事がない。
「俺、紬の事好きだよ。だから…両想い」
私は────────、累をそういう風に見たことなんてない。