白鳥学園、いきものがかり
「……すこし間に入らせてもらえる?」
……いおちゃん。
私と累の間に立ってくれる。
「部外者。邪魔者。早く出てってよ」
「……君は雲雀ちゃんの人権を失くしたいのかな?」
累はまた首をひねっていた。
「君は…あのルイだね。見たら分かるよ」
「うん。そうだけど何?」
「…有名人のルイが一般人の子と付き合っている。そんな事が知られればどうなるか考えたことは?」
「ないけど?」
「それじゃあ…もしそれが原因で雲雀ちゃんが誹謗中傷を受けた場合、君はどうするつもりだったんだ?」
びくっ、
沢山書き込まれていたSNSの画面を思い出す。
そして学校に来るまでに聞いた言葉も。
「別に?それなら俺が紬の傍にずっといるだけ」
「君は軽く考えていないか?」
眉間に皺を寄せた、いおちゃんが小さな溜息を吐いた。
「ルイ、君は芸能人だ。何かあれば事務所が助けてくれるだろう。そちらにはその道のプロがいる。自宅を特定される事も早々無い事だろう。それを事務所が防いでいるからだ。
……しかし雲雀ちゃんは違う。ただの一般人だ。
男の芸能人には女のファンが圧倒的に多い傾向がある。そんな中、”ルイの彼女”だと君が雲雀ちゃんを公言した場合、どうなると思う?
勿論祝福する声もある事だろう…ただ全員がそうではない。激昂し雲雀ちゃんを探し当てる者や、雲雀ちゃんに対し暴言を吐く者。下手をすれば自宅まで押し寄せるかもしれない。
そうなった時、君は本当に雲雀ちゃんを助けられるのか?
忙しい君が24時間365日、片時も離れず雲雀ちゃんを助けることが出来ると言い切れるのか?」
「うん。守るよ。俺は本気…」
「それなら聞くが、雲雀ちゃんが病院側から拒絶される可能性は視野に入れているのか?」
その言葉に累は止まった。