白鳥学園、いきものがかり
目を覚ました時、そこはまた病院だった。
繋がれた点滴を目で追う。
………私、また。
折角の学校生活は既にほとんどの日数を欠席してしまっている。早退だって数え切れない。
このままじゃ…辞める事になってしまう。
────────でももし。
退学になったら…パパとママの所に行けるかな…?
「おはよう、紬」
病室に顔を出したのは累だった。
しっかりと変装をしている。
「紬と家に帰ったんだけど。体調悪化して、病院来たんだ。覚えてる?」
………ううん。何も覚えてない。
「…お医者さんはなんて言ってた?」
「急に緊張、興奮、したからじゃないかだって」
緊張と…興奮……、
累が私の手を握り、自分の唇に持ってくると、マスク越しにキスをされた。
「俺の彼女、に興奮した?」
……………っ、
唇に残る感触。累とのキス。
「っ…からかわないで」
「俺いつも本気。本音しか言ってない」
「そんな事────────、」
病室が開いた。
立っていたのは医者じゃない。
紘だった。
「……俺教えてないけど?」
累がそう言うと大きな舌打ちをしズカズカと入って来る。紘は累の腕を掴むと力を込めた。強く掴んでいるのが第三者から見ても分かるほど、ギリギリと音が鳴っていた。
「俺の紬に何しやがった」
「ッ、違う。紬は、俺の彼女」
その言葉の後、累に向かい紘が拳を振り上げた。