白鳥学園、いきものがかり
また大きく振りかぶった紘。累は変わらずの無表情でそれを見ていた。
………っ、!
「ここは病院だって事を忘れたのか、お前等」
その声に全員の動きが止まった。
ドアの前にいたのは……、
「……傑」
息を切らした傑だった。
「…なんで来るの?俺呼んでないけど」
「俺も呼ぶわけねぇ…なんでここが分かった?」
傑は二人を間をすり抜けて、私の元へ来る。
そして私のスマホを取るとあるアプリを見せた。
傑に言われて入れただけの青色のアプリ。今まで一度も起動したことの無いものだった。
「てめぇ、何勝手にこんなもん入れてんだよ?」
……こんな物?何のこと?
「GPS…紬、これ入れたのなんで?」
「え?」
…私知らない。
何かあった時にって、スマホを買ったその日に入れられた。使う事は無いからと一番端に置かれていた。
傑の袖を掴み引っ張った。
「……入れたの?」
「紬の為に…何処に居ても俺が行けるようにさ」
そう言って、私の頭を撫でた。