白鳥学園、いきものがかり
傑は眉を寄せると大きな舌打ちをし、髪を掻き上げた。怒っているのか鋭い目つきをしている。
「ごめん…秘密にしてた事なのに…」
傑は左右に首を振った後、微笑んだ。
そして────────、私の身体を押し倒す。
「俺はあの女と付き合っていない」
「え?…あ、えっと秘密なんだよね?大丈夫だよ。私誰にも言わないから…、」
「紬、俺を見ろ」
逸らしていた視線が傑に向けられた。
私を見る目に怒りを感じる。
…………傑?
「あいつが言ってんのは全部嘘」
嘘?…え?どういう事?
「どうしてそんな……?」
「さあ?…ただ俺が言ってる事が真実」
「で、でも…えっと…、」
どうしよう、どちらを信じたら…?
傑は私の頬にキスをして耳元に顔を近付けた。
「俺の事信じられない?」
囁き声に全身がゾクリとした。
顔が赤く染まりくすぐったい。
「俺にはずっと紬だけ。他の女なんか興味ない。紬が居れば後は何も必要ない。…あんな奴より俺を信用してくれるよな、紬」
耳の近くにキスされて、リップ音が響いた。呼吸も言葉も全部がすぐそこで聞こえてくる。
「す、ぐる…待って。離れて」
「蛇に待てが出来るとでも?」
首筋に移動する唇は、チクリと痛みを感じた。
「っ…!傑、今のなに…?」
「ああ…本当可愛いな。紬」
にやける口元を押さえてから、また同じように首筋に顔を近付けた傑。またほんの少しの痛みが走った。