白鳥学園、いきものがかり
傑を押し返そうとするが、遂には両手首を掴まれてしまった。反撃する事も出来ないまま、私は傑が離れるのを待つしかなかった。
離れていく傑は、唇を舐めると私の額にキスをした。
「……もう我慢出来ない」
そう聞こえたかと思った時には、
「っ…ん…!」
────────傑と唇を重ねていた。
…………え?
触れただけの口付け。離れた後でまた傑が顔を近付ける。
………っ!!
顔を逸らしたがそれはすぐに傑の方へと向けられた。
近付く傑を止める前に、私はまた唇を重ねられていた。
「……んっ…!まっ…んん、」
長めのキス。
息の仕方が分からない。
ほんの少し開いた口の中に、傑の舌が入り込む。
「っっ……!?」
訳の分からないまま私は何度も傑の胸を押し返す。
……っ、離れない。
その時だった。病室のドアが開き誰かが勢いよく入ってきたのは。
そこでようやく傑が離れた。
「お前…何やってんの?」
累だった。いつもの無表情の累からは考えられないほど、怒りを露にしていた。
「何って…見たら分かるだろ?」
「煩い。黙れ。触るな」
「そう怒るなよ。これは悪い事をした紬へのペナルティだから」
そう言うと傑はニヤリと笑って、ベーっと舌を出した。