白鳥学園、いきものがかり
「……元々凪は精神的に不安定な事があってね。知っているだろう?母親が出て言った事…」
それは────────、凪と私が小学校中学年の頃だった。
「おばさんが凪とおじさんを置いて家を出て行った」
それを聞いたのは病室内での事だった。
少しだけ目を覚ましていた私に気が付かず、ママは私の居る病室で電話をしていた。その時の会話の一部だった。
その時、凪はおじさんが帰ってくるまでの間…ずっと一人で家にいたという。
「あの日から凪は暴れるようになっていたんだ。でも…紬ちゃんが凪と一緒に居てくれたから、凪はようやく落ち着くようになったんだ。……でも何故か数日前から様子が可笑しくてね。まるであの日のように、物や人に当たるようになってしまったんだよ」
……………凪。
おじさんは伝票を取ると私にタクシー代を握らせた。
「おじさんは…今からお仕事ですか?」
「え?…あ、ああ。そうだね」
「……その間凪は一人になりますよね?」
「………そうだけど、仕方が無い事だよ。仕事を休むわけにはいかないから、」
「それなら────────、」