白鳥学園、いきものがかり

u n c o n t r o l l a b l e



────────紬。
幼い頃の姿のみんなが私を呼んでる。

病気のせいで走れないはずなのに、何故か私は走れていて。だから私は走ってみんなの所に向かうんだ。それなのに届かない。目の前にいるはずなのに…追いつけない。


「………っ、待って、」


目が覚めた。
頭が痛い。

走れている時点で気が付くはずなのに。夢って気が付けなかった。


………ここ、凪の家だ。

あんな状態になったのに…どうして病院じゃないの?


「おはようございます。紬」


笑顔でそう言ったのは凪だった。
おぼんの上には卵粥とスポーツドリンク。

口元へ向けられたレンゲに躊躇する。


「安心してください。食材は買ったばかりで、程よく冷ましておきました」


っっ……、


「一度病院に行かないと。もしかしたら点滴するかもしれないから」

「もしかしてまだ熱いかもと思っていますか?それならフーフーしましょう」

「……凪、私食べないよ」

「ふー…、これぐらいならどうです?冷め過ぎるのも味気ないでしょうから」

「…っ、凪。私の話聞いて」


思いっきり頬を掴まれた。粥は私の太ももへと落ち、熱さを感じる。


「ッ…!」

「紬も俺の事捨てるんですか」


粥を落とした所にほんの少しの熱さが広がる。


「俺の作った飯も食べたくない。俺の傍に居たくない。そういう事を言いたいのですか?」


目が据わってる。直感的に感じた”従わなければならない”気持ち。


私は左右に首を振った。
凪はそんな私を見て笑顔になる。


「紬、あーんしてください」

「………っ、…、」


……太ももが痛くて熱い。

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