白鳥学園、いきものがかり
***


紬は何度も重なる唇に酸素不足を起こしていた。呼吸が乱れ、凪の胸板を押し返す力も徐々に弱まっていた。

何度目かのキスの後、紬はぐったりとした。
薬の副作用と酸素不足のせいだった。

凪は紬を見つめながら、昔の事を思い出していた。




────────凪は母親の事が大好きだった。異常なほどに。



「紬、起きてください。そうでなければ俺は…」



愛おしい紬を優しく撫でる凪。



「紬を壊したくなってしまう」



綻びる表情。


あの日、あの時…母親が恐怖を感じた表情と同じ。


”産むんじゃなかった。”
その言葉の意味は……、


「俺の紬。俺だけの紬」


異常なほどのアイを魅せられてしまった母親は、自分の息子を恋愛対象として見るようになり…精神が崩壊してしまった。



凪はそっと自分の唇を舐めた。
紬の吐き出した血がまだ残っている。


「全部俺の物」


そう言うと、気絶してる紬の唇にまた唇を重ねた。


***
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