白鳥学園、いきものがかり
『────────紬、』
…え?
「ひ…ろ?」
キャップを少し上げて見えた顔と聞き慣れた声。
誰にも言わずに来た凪の家。
GPSを入れている傑じゃなく、紘がそこにいた。
『開けろ、紬』
「…どうしてここに」
紘は「あー…」と長い声を出し笑う。
『凪が心配で?』
…そっか。そういう事か。
「分かった。今開けるね」
紘も凪が心配だったんだ。そうだよね、だって幼馴染だもん。私も凪も紘もみんな大事な幼馴染………、
────────それじゃあ、どうして私の名前が出たの?
ここは凪の家なのに。どうして私の名前を先に呼んだの?そんなのまるで…ここにいる事が分かっていたみたいで………。
「紬…、」
背後から凪に抱き寄せられて吃驚した。
誰だったのか、と聞く凪に紘の名前を出す。
「……凪が紘に私がいる事話したんだよね」
「俺が?あの馬鹿に?……本当にそう思いますか?」
凪が嫌いだと言っていた紘に言う訳ない。
ガチャリと開いた玄関。
入ってきたのは全身黒色の服に包んだ紘。
紘は私と凪を見るなり靴も脱がずに引き剥がした。凪の胸倉を掴み壁に押しやる。
「俺の紬に触んじゃねぇ」
「…俺の?紬は俺の物ですよ。紬だってそれを望んでいます」
「ああ゛?」
「紘…!やめて!」
振りかぶる拳にしがみついた。