白鳥学園、いきものがかり



「…紬?」


こめかみを抑え、傑にもたれかかった。頭痛がしているのだ。


「頭痛か?」


こくり。
顔を埋めたまま頷く。


ベッドサイドの引き出しから取り出したのは大きなピルケース。家用の物で病院から貰ったものをこの中に入れて管理していた。


「飲めるか」


頷くが、口に入れるのを躊躇した。


家に置いてあるのは眠たくなるやつばかり。
だから外では絶対に飲まない。

…飲みたくない。
だって飲んだら寝てしまうもの。



「悪い子だな、紬」

「んッ!?」



傑の親指が口の中に入った。
ねじ込まれたその指に驚く。

その隙間から無理矢理入れられた薬。苦くて思わず吐き出しそうになったけど、その前にミネラルウォーターが喉を潤した。


「んんっ…、」


「いい子だ、紬」


喉を通る大きい錠剤。
ごくんと大きな音が鳴る。



「飲んだか?」



頷く。


「口開けて。確認する」


開けてとお願いする割にはかなり乱暴だった。顎を上げられ、人差し指と中指の間に私の舌を挟む。ベーっとしながら口を開いている。

傑の指に唾液が絡まり、熱を帯びる。



「────────いい眺め、」


「…?、っ?」



フッと笑った傑は右の頬に軽く触れるキスを落とす。離れる指は名残惜しそうで、唾液が絡み糸を引く。



「おやすみ、紬。いい夢を」



まだ眠くない…だけど。


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