白鳥学園、いきものがかり
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パジャマを着替えさせた蛇目傑が愛おしそうに見るのは、雲雀紬。
視線だけで分かる、傑が心から紬を愛している事が。
ベッドの縁に腰を下ろし、頭を優しく撫でていたが止める。
ポケットからバイブ音が丁度鳴り終えた携帯を取り出す。
着信履歴150件
受信メール204件
そうこうしているうちに、また鳴り出した。
溜息を吐く傑はようやく通話ボタンを押す。
「……はい」
『っ!?や、やっと出た!スグル!』
静かな傑とは違い、電話口で大きな女性の声。
「静かにしろ。紬が起きる」
『またその子の所に居たの?駄目だって言ったはずよ。スグルの仕事に支障をきたすわ。今週刊誌は人気者であるあなたのスクープを撮る為に必死なの。あなたの仕事に影響が………』
「それなら俺は仕事を辞める」
『は…!?』
振り返る傑の視線の先には可愛いお姫様。
色白の肌、漆のように黒く長い髪。
長いまつ毛にうす桃色の唇、頬…。
まるで眠れる森の美女。