白鳥学園、いきものがかり
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雲雀紬を抱きしめる狐塚翔。
抱きしめられてる紬の耳には白いヘッドホン。
目を瞑り曲に浸る紬には何も聞こえてない様子。
「ねぇ、さっきなんて言おうとしたの?」
先に話しかけたのは翔だった。
正面の鷹埜実は知らん顔で逸らす。
「…何がだ」
「あ、わざととぼけてる?そういうの好きだよ。だって僕もよくやるもん。
────────でもお前は嫌い」
小さな声で笑う翔。
紬の頭を撫でながら顎を乗せた。
「”紬は俺の”だ。お前にあげない、誰にも渡さない」
目を細めた。その奥は笑ってはいない。
かわいいはずの翔から、黒い何かが渦巻いていた。
「…演技上手だな」
実がそう言うと、笑顔になる翔。
「ほんとー?いっその事アイドルから俳優にでも転身しちゃおっかなぁ~?」
「猫かぶりが、」
かわいい笑顔が真顔に変わり、紬を強く抱きしめた。さっきよりも強く、けれど優しく包み込むように。
「紬がかわいい俺が好きって言うから、それに従ってるだけ…そうじゃなきゃ、クソぶりっ子なんか死んでもやらねーよ。
ばぁーか」
舌を出し不敵に笑った。
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