白鳥学園、いきものがかり

***



雲雀紬を抱きしめる狐塚翔。
抱きしめられてる紬の耳には白いヘッドホン。

目を瞑り曲に浸る紬には何も聞こえてない様子。


「ねぇ、さっきなんて言おうとしたの?」


先に話しかけたのは翔だった。
正面の鷹埜実は知らん顔で逸らす。


「…何がだ」


「あ、わざととぼけてる?そういうの好きだよ。だって僕もよくやるもん。

────────でもお前は嫌い」


小さな声で笑う翔。
紬の頭を撫でながら顎を乗せた。


「”紬は俺の”だ。お前にあげない、誰にも渡さない」



目を細めた。その奥は笑ってはいない。

かわいいはずの翔から、黒い何かが渦巻いていた。



「…演技上手だな」



実がそう言うと、笑顔になる翔。


「ほんとー?いっその事アイドルから俳優にでも転身しちゃおっかなぁ~?」

「猫かぶりが、」


かわいい笑顔が真顔に変わり、紬を強く抱きしめた。さっきよりも強く、けれど優しく包み込むように。



「紬がかわいい俺が好きって言うから、それに従ってるだけ…そうじゃなきゃ、クソぶりっ子なんか死んでもやらねーよ。


ばぁーか」



舌を出し不敵に笑った。


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