白鳥学園、いきものがかり


…く、くるしい。

何故か急に強くなった力に吃驚した。

それに気付いたのか翔は力を緩めた。
ヘッドホンを取り、プハッと息を吐く。


「力強かったぁ?ごめんねっ」


ニコッと笑顔がかわいくて。
癒しってこういう事かな、と思う。


よくテレビの人が、

”カケルはかわいいだけじゃなくて癒しにもなる”って言ってたけど…本当その通りかも。



「ねぇ、先生はもう帰った方がいいんじゃない?」



翔が言った。


「は、」

「あ、そうだね。実くん明日も早いんでしょ?」


学校の先生は忙しいんだってしょっちゅう言ってたもんね。

振り返ると、引き笑い状態の実くんがいた。


「いや、俺は…!」


伸ばしかけた手がピクリと止まった。


「先生って大変なんだねぇ~」

「うん、そうみたい。実くんまた明日ね」


立て続けに私達がそう言ってしまったからかもしれない。



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