白鳥学園、いきものがかり


……折角、早く来たのに。結局ギリギリに教室に入らないといけないだなんて。


沢山の溜息、荒い呼吸と共に教室に入った。視線は全て私達三人の方へ。


ッ、な…なんだろう?


ヒソヒソ話が始まった。


「…あの子、すげー可愛くね?」

「なんであんな奴等と居るわけ?」


聞き取れない。
だけど見てるのは紛れもなくこっちで。


…もしかして二人の事分かったって事?


翔の袖をぎゅっと握り俯く。

もし、バレたら────、
一緒に通えなくなってしまうかもしれない。


「大丈夫だよ。紬ちゃん」


手が絡む。


「でも…みんなこっち見てて、」

「大丈夫大丈夫。バレてる訳じゃないから」


そう…言うけど。

翔の口元がフフっと笑った。



「僕の変装、バレそう?」



着崩した制服と、長い前髪。
整った鼻筋は見えにくい。

念の為と付けたダサい伊達眼鏡は、あの大人気アイドルグループ所属、あざとかわいいカケルには到底思えない。


私は無言で首を振った。


< 74 / 199 >

この作品をシェア

pagetop