白鳥学園、いきものがかり
……折角、早く来たのに。結局ギリギリに教室に入らないといけないだなんて。
沢山の溜息、荒い呼吸と共に教室に入った。視線は全て私達三人の方へ。
ッ、な…なんだろう?
ヒソヒソ話が始まった。
「…あの子、すげー可愛くね?」
「なんであんな奴等と居るわけ?」
聞き取れない。
だけど見てるのは紛れもなくこっちで。
…もしかして二人の事分かったって事?
翔の袖をぎゅっと握り俯く。
もし、バレたら────、
一緒に通えなくなってしまうかもしれない。
「大丈夫だよ。紬ちゃん」
手が絡む。
「でも…みんなこっち見てて、」
「大丈夫大丈夫。バレてる訳じゃないから」
そう…言うけど。
翔の口元がフフっと笑った。
「僕の変装、バレそう?」
着崩した制服と、長い前髪。
整った鼻筋は見えにくい。
念の為と付けたダサい伊達眼鏡は、あの大人気アイドルグループ所属、あざとかわいいカケルには到底思えない。
私は無言で首を振った。