冷徹上司の、甘い秘密。
「……お前、俺も男だってこと忘れてないか?」
「……え?」
「……ベッドに誘ってそうやって煽って。……誘ってんの?」
すぐ近くで聞こえるその掠れた低い声に、心臓が鷲掴みにされたようにドクンと鳴った。
気が付けば私を抱きしめていた課長は私の上に馬乗りになっていて。
私は仰向けでその端正な顔を見上げていて。
「そ、そんなつもりは……」
「じゃあ何、上司をからかってる?」
掻き上げた前髪の隙間から覗く目は、ジトッと熱を帯びている。
……あれ、おかしいな。
「俺だって男なんだよ。……そんな煽り方されりゃあ、理性止めるのも必死なわけ。わかる?」
そう言って私の唇を親指でそっと撫でる。その感覚にビクッと跳ねた身体。
心臓はさっきまでの落ち着きを無くし、バクバクと破裂しそうなくらい激しく動く。
伏せた目元がゆっくりと近付いてきて、鼻と鼻が触れ合う距離でピタッと止まった。
「……拒否るなら、今の内だ。早くしろ」