ため息のわけを教えてください
二十一時半を少し回った頃、自動ドアが開いた。大福さんの来店だ。わたしはバックルームに飛び込んで、時計とメモを持ってレジに戻った。
大福さんが近付いてくる。まともに顔が見られない。
「いらっしゃいませ」
レジに置かれたのはいつもと同じバリスタブラックと大福だ。レジ打ちをして袋詰めを済ませると、四角い指先が、小銭をトレーの上に並べている。
「あの、昨日は」
顔を上げようとして。彼の胸元に目がいった。
「あっ」
彼のネクタイで、ガラス細工のアオリイカが艶めいている。昨日渡したネクタイピンを早速つかってくれているのだ。生きたイカを表すための透明感を残したかったが、土台が透けてしまうと格好悪い。
だから土台の近くに青や白を少しだけ混ぜて、透明感を強調した部分と、海の青に溶けている部分を作ってみた。加減が難しく、失敗作が何杯だったかは思い出せない。
「これ、どこで買ったんだ?」
「あ、それ一応自分で作ったんです」
「どうやって」
「普通にバーナーで」
大福さんが近付いてくる。まともに顔が見られない。
「いらっしゃいませ」
レジに置かれたのはいつもと同じバリスタブラックと大福だ。レジ打ちをして袋詰めを済ませると、四角い指先が、小銭をトレーの上に並べている。
「あの、昨日は」
顔を上げようとして。彼の胸元に目がいった。
「あっ」
彼のネクタイで、ガラス細工のアオリイカが艶めいている。昨日渡したネクタイピンを早速つかってくれているのだ。生きたイカを表すための透明感を残したかったが、土台が透けてしまうと格好悪い。
だから土台の近くに青や白を少しだけ混ぜて、透明感を強調した部分と、海の青に溶けている部分を作ってみた。加減が難しく、失敗作が何杯だったかは思い出せない。
「これ、どこで買ったんだ?」
「あ、それ一応自分で作ったんです」
「どうやって」
「普通にバーナーで」