ため息のわけを教えてください
「バーナー? それは普通じゃねえだろ。すげえな」
大福さんの太い指先が、イカの胴体を撫でている。生きものにでも触れるような慎重さだ。ネクタイピンを大切にしてくれていることが伝わって来る。
「昨日は時計、ありがとうございました。甘えさせてもらって、電子マネーで払いました。でも、タクシー代すっごく高くて」
「足りなかったか?」
「ぜんぜん足りました」
「なんだよ」
彼はふっと唇から息を漏らす。笑っているようだ。
「領収書もらっておきました。あと、昨日橋爪さんが言ってたメッセージアプリ、アカウントを作ったので一応。要らなかったら破り捨ててくれて構いませんから」
「捨てるわけねえだろうが」
手のひらを出して催促され、わたしはメモと時計を渡した。大福さんは早速時計を腕につけた。それから、上着の内ポケットから紙切れを取り出して、カウンターの上に置く。
「俺もまあ、始めてみたんだが」
大福さんはふいと目を逸らした。実は彼も、昨日わたしが教えたSNSにアカウントを作ってくれていたらしい。彼のハンドルネームは『大福さん』だ。
大福さんの太い指先が、イカの胴体を撫でている。生きものにでも触れるような慎重さだ。ネクタイピンを大切にしてくれていることが伝わって来る。
「昨日は時計、ありがとうございました。甘えさせてもらって、電子マネーで払いました。でも、タクシー代すっごく高くて」
「足りなかったか?」
「ぜんぜん足りました」
「なんだよ」
彼はふっと唇から息を漏らす。笑っているようだ。
「領収書もらっておきました。あと、昨日橋爪さんが言ってたメッセージアプリ、アカウントを作ったので一応。要らなかったら破り捨ててくれて構いませんから」
「捨てるわけねえだろうが」
手のひらを出して催促され、わたしはメモと時計を渡した。大福さんは早速時計を腕につけた。それから、上着の内ポケットから紙切れを取り出して、カウンターの上に置く。
「俺もまあ、始めてみたんだが」
大福さんはふいと目を逸らした。実は彼も、昨日わたしが教えたSNSにアカウントを作ってくれていたらしい。彼のハンドルネームは『大福さん』だ。