自殺したらテンプレ異世界転生とかガチで言ってんの?
始まり、そして出会い。
「怖っ、高っ!これ行けるのか?」

「まあ、いいや。これから先のことを考えたらこれが1番手っ取り早いか......」

「よしっ!行くぞ!」

瞬間、俺の体は中に投げ出された。

そう、自殺だ。

働き口が見つからず、親にも見捨てられ、ましてや家も追い出された。

行き場を失った俺は自殺という方法を選んだ。

(これでようやく終わる.....)と落ちる直前考えた

ベチャッ!という音と少しの痛みを感じた後、俺の視界は暗転した............ザザッ(コレデオワルトオモウナヨ.....)

...........ん?何か聞こえt.......あれ?

鳥のさえずり、草木の揺れる音、風が吹く音、土の匂い.......

「俺.....生きてる?」

マジかよww....って言ってる場合か!!

これじゃあ自殺未遂だろが!!

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!最悪だ!!」

思わず声に出た。ほんとに最悪、死にきれなかった......

と思ったところで冷静になる。

「傷は?マンションの8階から飛んだんだぞ?無傷なハズは無いんだが.....」

「て言うかここどこ?!」

周りに広がるのは広大な草原、遠くには大きな山々とでっけぇ森。

なんこれ。どこだよ。怖っ。

ここでひとつの案が浮かぶ。

俺はよくラノベが好きで、異世界ものを読んでいた。

(あーこれワンチャン異世界転生ってやつだな。)

テンプレ異世界転生来ましたわこれ。

元の世界で失敗したやつが異世界で大活躍!?..........的なあれ。

だけど自殺で異世界なんか見たこともねぇぞ!
?これはあれだ満喫しないとちょっと損するやつや。

少し楽しんであとはこの世界からもゆっくりきえよう.....

しかしさっきから向こうの方に自立して跳ねる風船が跳ねてるけど...何あれ。

うわっこっち来た!!何あれ?!顔付いてんの!?牙あるし!ヤバい、噛まれる!

「うわああああ!!」バコッ

俺は咄嗟に顔の着いた風船お化けを殴った、すると....パァン!!

「うわっ!割れた?」風船お化けは割れた。

ブォン...exp+1....突然俺の視界にそんな表示がなされた。

「ふぁ!?」

驚きのあまり変な声が出た。

exp....experience point(ネイティブ風)?経験値ってやつか....マジで異世界じゃん。

ちょっとワクワクしてきた。しかし経験値とかどこで見れるんだ?と目をキョロキョロ動かすと視界の端に歯車マークがあることに気がついた。

そこに意識をやると、大きな画面が目の前に現れた。


角田翔一 ♂ AGE.20 Lv1 exp1/20

装備 ステータス
Tシャツ 防御+1 物理攻12
ジーパン 防御+1 物理防8(+2)
スニーカー 俊敏+1 魔法攻10
魔法防7(+2)
俊敏11(+1)
log
討伐:バルーン×1 exp+1

こんな感じ。俺の興奮は最高点に達した。

「おふっ、マジじゃん」

「さっき倒したやつはバルーンって言うのか。」

どっかの盾を持った勇者のアニメに出て来たのを覚えてる。

「よしっ仕方ない、とにかく試しにレベル上げでもしますか。」

と言ってみたものの、自分はこの世界では右も左も分からない無一文君だということに気がついた。

「........人のいる所を探そう。」

そう言って歩き続けてだいたい1時間ぐらいだろうか、南の方にお城とその城下町....いわゆる王都らしき場所が見えた....がこんな格好した怪しさ抜群の男は門の先に入れて貰えないだろう。

なので村を探すことにした、果たして近くにあるのだろうか.....。

それからさらに1時間程、途中で襲って来たバルーン達を殴っていたらレベルが3まで上がったことはどうでもいいとして...見つからない、村が無い!!

ヤバいどうしよう、てか村があっても言葉は通じるのか?不安になってきた.....。

空は少しづつ暗くなってきている。このままじゃ何もせず死んでしまう。一日に2回も死を経験するのはなかなか厳しい。何とか生き残る方法を探さなければ!!

しかし、火は起こせない、川で魚は取れない、木を切る道具もない、何 も 出 来 な い 。

ヤバい、本格的にヤバい。空真っ暗、変な鳴き声聞こえるし、何より寒い。凍えそうだ。腹も減ったし、寝る場所もない。終わった.....早すぎるな。寒さと空腹、不安と恐怖で意識が朦朧とする。視界が暗なっていく....................




「大.....夫でs.....?聞こえ.....か?」

どこからか声が聞こえる。

「んお?」

目が覚めた....起き上がると目の前に鎧を着て腰に剣を挿した綺麗な女の子と、スキンヘッドに頬に傷跡があるイカついおっさんがいた。いかにもな見た目をした2人だ。

女の子の方は心配してくれているみたいだけど、おっさんの方は少し警戒しているようだ。そりゃそうだ、見たことも無い服を着たやつなんて怪しさ満点だ。

しかし言語はお互い分かるようだ。

「大丈夫です、助けてもらったみたいで、ありがとうございます。」

と俺が言うと女の子はホッとした表情で
「良かったぁ(≧∇≦*)」と微笑んだ......可愛い....
失礼。

するとおっさんが「おい、坊主。名前はなんだ。
」と聞いてきた。

「!.......角田翔一です.....翔一が名前です.....」一瞬ビクッとしたが殺されそうなのでちゃんと答えた。

「そうか、俺はクリスだ。クリス・ハモンドだ。」

「もうっ、クリスったらすぐに威圧掛けないの!あ、私はハンナ・レーガンだよ!クリスとは一緒に旅してるの。」

「で、ショウイチ。質問だ、お前はどこから来た。長年旅を続けてるがお前みたいな服を着た人間見たことがねぇ。」一番答えにくい質問が来た。

異世界から来ましたなんて信じて貰えるだろうか......ハンナさんもクリスさんも見た感じは悪い人ではなさそうだけど、剣を持っているということは敵と見なせば斬り捨てることもできるだろう.....ここは慎重に行く必要がある、嘘偽りなく話すべきだろう。

俺はゆっくりとこれまでの経緯を話し始めた..........


「なるほどな。つまりショウイチは異世界から来た....と言うことか。」

「え?信じてくれるんですか?」

「にわかには信じ難いが、ここについて何も知らないことや、その妙ちくりんな服装から見ても信じるしかないだろう。」

「ええ、私も信じますよ。ねぇ、クリス。しばらくショウイチを私たちと行動を共にさせるのはどう?」

「まあ、身元も明かした上にここについて何も知らないし、その薄い布切れじゃいつ死ぬか分からんしな。いいぜ着いてきなショウイチ。ただしちゃんと言うことは聞けよ?」

俺は2人の優しさと心の広さに思わず涙した。
「ありがとうございます!!」
........グウウウウ.....

俺の腹が鳴った.....恥ずっ。

「フフっ、そういえば何も食べていないんでしたね、宿の厨房を借りて簡単ですがサンドウィッチを作ったんです。良ければ食べてください。」

ハンナさんはそう言うとまた微笑んだ。彼女の気遣いと可愛さにまた泣きそうになった。

「ありがとうございます、いただきます。」

「イタダキマス?」クリスさんが首を傾げた。

そっか、言語は通じても文化は違うのか....

「"いただきます"は俺の元の世界では食材に感謝して食事をする前に言うおまじないみたいなものなんです。」と説明すると、ハンナさんが目を輝かせて
「すごくいい事ね!!私も使ってみるわ!!イタダキマス、イタダキマス!」

........うん、可愛い.....失礼。

しかし、美味いなサンドウィッチ。安心感が溢れてきて、眠りに着きそうだったが、クリスさんが明日について話し始めた。
「明日は街に出て食材と小道具の調達をする。」
街........俺は疑問を持った、
「ここってどこなんです?」
「ん?ここか?王都の宿の部屋だ。」
「王都.....どうやって俺を入れたんですか?」
「クリスが背負って荷物にかける布をかけておいたら意外とバレないものよ。」
「へぇー、そうなんだ」
てかどんだけ怪しまれてたんだ俺。
そしてもうひとつ質問がしたかった。
「ちなみに2人は何故旅を?」
「ああ、それについて話していなかったな。俺たちは世界各国で問題になっている。"怪異の獣"について調査、またはそれらを討伐している。」
「怪異の獣?」
「怪異の獣っていうのはね、世界中でどこからともなく現れる見たことも無い獰猛で人や他の魔物を好んで襲う魔物のことを指しているの。」
「まだ怪異たちのルーツや発生する条件なんかが分かってないから俺たちが調査兼ねて討伐を行っているわけだ。」
「なるほど......あ、だから俺警戒されてたんですか?」
「怪異の件がなくてもお前は怪しさ抜群だったぞ........」
「..........」ですよねー。

「とにかく!明日はそれに必要な食料と小道具を補充しに行くの!」
「了解です!」
「後、ひとつ警告だ。俺たち以外には自分が異世界から来たことは話すなよ。」
「え?」
「ここの奴らが異世界の人間に対して何を思い、何をしだすか分からん。それに王の耳に入れば怪異だのなんだの騒ぎ立てられるかもしれないからな。俺達も適当に誤魔化してやるから、気をつけろよ。」
「はい......」
忘れていた.....この2人が寛容なだけで他の人が何を思うかは分からないもんな.......簡単に2人に話そうとした俺は馬鹿だった、もう少し熟考すれば良かったかもしれない。本当に2人が発見してくれて良かった。

そんなこんなで明日に向けてササッと準備をして就寝した......が眠れない(´◉ω◉` )。
ワクワクとちょっとの不安がのしかかって寝ることが出来ない。どんなことになるんだろうと期待を寄せながらも、波乱が起きそうだと不安にもなる。
寝付けないので窓の外を見てみると、綺麗な星空、月みたいな夜の大きな星。それに照らされた、中世ヨーロッパのような街並み。薄明かりと街灯に照らされて少し色のついたカラフルな家も見えて、ネットで見たドイツのローテンブルクを彷彿とさせた。

綺麗だ.....明日からどんな生活が待っているんだろう......少し落ち着いたのか眠たくなってきた。
ベッドに戻り、俺はすぐに眠りに落ちた。

そんなこんな2日目の朝を迎えた。

まだ慣れない.....てか服どうしよう...こんな格好じゃ怪しまれちゃうよな......

「おい、ショウイチ。これは俺の予備の装備だが、今は着ておくといい。ていうかサイズ合うか?」

ナイスタイミングだクリスさん!ということで俺はクリスさんの予備のインナー、ズボン、革の鎧、短剣を借りることになった。
「ありがとうございます!」
「ショウイチ、もう敬語はやめましょう?私たちは旅の仲間よ?」
「そうだぜショウイチ、礼儀正しいのはいいが堅苦しいのはよしてくれや。」
「分かった、じゃあ改めてよろしくね、ハンナ、クリス!」
「おう。」
「イエス☆d(´∀`*)!」
「よしっ、そろそろ行くぞ。」
こうして俺たちは宿の外に出てハンナとクリスは旅の再開、俺は旅の始まりを迎えた。
The異世界な装備を着てワクワク。
The異世界な人達と冒険でワクワク。
この先どんなことがあっても楽しくなるようにすればいい、前世の俺を変えてやればいいんだ!!
ここからやり直す、俺の異世界更生努力譚を初めてやろうではないか!!

















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