悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
「こいつはかつて城の騎士団長だった男だ」

何かが癪に障ったのか、チッと舌打ちをして口を挟むリシュタルト。

「――なるほど、ナタリアに獣操師の話を聞かせていたのはお前か」

「ああ。まだこんなちっこいのに、なかなか優秀なお嬢さんだ。ドラドを飼ってるんだって? お前だって、あの珍獣を飼うまでに手懐けるのがどれほどのことか分かるだろう?」

「………」

「夢があるってのはいいことだぜ。忘れたか? リシュタルト」

イサクがリシュタルトに向け、ニッと口角を上げて見せる。

リシュタルトはぐっと押し黙ったあとで、渋面を崩すことなく彼から視線を逸らした。

その先はもう、イサクの方は見ようともせずに、ナタリアの手を引いて椅子から無理やり立ち上がらせる。

「とにかく戻るぞ、ナタリア」

それから入口の手前でうしろを振り返ると、「お前も来い」とギルに冷たく言い放った。
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