悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
城に戻ってすぐに、ギルは捕縛され、地下牢に連行された。

絶対に出ないようきつく言われて、ナタリアは部屋に閉じ込められる。

ギルが本当に殺されてしまうのではないかと、ナタリアは生きた心地がしなかった。

ベッドの上にうずくまり、ひとり音もなく鳴いていると、ユキが慰めるように擦り寄ってきた。

「クウン……」

ナタリアの頬に落ちた涙をペロペロと舐めるユキ。

「ユキ……」

ナタリアが思わずユキの身体に抱き着くと、ユキは自分の役目を分かっているかのように、いつまでもじっと動かずそのままでいてくれた。

ナタリアはやがて泣き疲れ、ユキのモフモフの体に身を沈めるようにして眠ってしまう。

日が沈んだ頃になって、外側からドアの鍵を開ける音がした。

ナタリアは目を覚ますと、ユキに身を寄せながら、ゆっくりと開くドアを見つめた。

現れたのは、リシュタルトだった。

リシュタルトはドアを閉めると、こちらに近づくことなく入口付近に立ち尽くす。

「ギルは、どうなるのですか……?」

「お前はどうしたい?」

「助けて欲しいです……」

涙ながらに懇願すると、リシュタルトがゆっくりとこちらに歩んできた。

彼がこれからどういう行動に出るのかまったく予想がつかず、ナタリアは怯えながらユキの身体にますますしがみついた。

ナタリアのいるベッドからやや距離を置いて、リシュタルトが立ち止まる。

「俺が怖いか?」
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