悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
「移住は認めん、もちろん獣操師になることもだ。お前はこの国の王女なんだぞ? その身を自ら危険に晒してどうする」

「……でも! 他の国の王女は当たりまえのように留学してます! 私だって――」

「よその国のことは知らん。たとえお前に嫌われようと、俺は許可する気はない」

よそはよそ、うちはうち、というような調子でぴしゃりと言われ、ナタリアは今度こそ呆然とする。

(何、この流れ。こんなの予定と違う)

十三歳で獣操師の資格を取って、十四歳で北大陸に高跳びする予定だったのに。

試験のための勉強はばっちりだし、北大陸の地理や風土もすっかり頭に入っている。

どの国のどの町に移住するかまで完璧に予定が立っているのに。

(今までの苦労はなんだったの……?)

やるせない気持ちで、リシュタルトに気に入られるためにあれこれ画策した日々を思い起こす。

前世の記憶を取り戻してからというもの、およそ十二年、コツコツと頑張ってきたのにあんまりである。

だがうかうかしている場合ではない。

アリスが現れる日まで、それほど時間がないのだ。

こうなったらやけくそだ。

ナタリアは意地になっていた。

「王女だから自由にできないというなら、私は王女を辞めます」

リシュタルトの顔が、ピクッと引きつった。
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