悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
「クウン……」

窓の向こうの曇り空を見上げ、ぼうっとしていると、足にユキが擦り寄ってきた。

モフモフの感触に心がホッと和む。

ナタリアは思わず、ユキの大きな体をぎゅっと抱きしめた。

「お前は変わらないのね、ユキ」

ユキだけではない、ロイも変わらずナタリアに懐いてくれている。

どうやらアリスのチート能力が効くのは獣人だけのようで、獣たちはアリスには見向きもしない。

ユキとロイが変わらないことは、ナタリアの唯一の救いだった。

「ナタリア様、勉強ははかどっていますか?」

ノックの音とともにギルが現れる。

そしてユキに抱き着いているナタリアを見るなり、フッと微笑んだ。

(そういえば、この人も変わらないわ)

彼だけは、アリスフィーバーに乗っかっていない。

いつもの時間にきちんと現れ、ナタリアの勉強を見てくれている。

「あなたは、アリス様のお茶会に行かなくていいの?」

「お茶会? 何ですかそれは」

「使用人の慰労を兼ねた特別なお茶会ですって。きっと今頃、城中の使用人がアリスのところに向かってるわ」
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