悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
――『もう、大丈夫だ』

怯えている相手にあんな風に優しく声をかけてくるような人だとは思ってもいなかった。

モフ番からは読み取れなかった情報なので、こうなってくると彼の攻略ポイントが分からなくなってくる不安があるが、事態が好転していることは喜ばしい。

「ナタリア様、今日から家庭教師が増えるそうですよ」

ナタリアがベッドに腰かけ、スプリングの弾み具合を楽しんでいると、アビーが声をかけてきた。

「増えるって、ギルは? もう来ないの?」

「いいえ。リシュタルト様が改めてギルの採用テストを行い、彼が非常に優れた家庭教師だということが認められたそうです。だからギルには、このままナタリア様の学問指導にあたってもらうそうです。ですが、ギルよりもより適した教師がいる分野――テーブルマナーやダンスなどは、別に雇うようですわ」

「きっとリシュタルト様も、ナタリア様の賢さにお気づきになられたのですね。きちんと教育して、立派な王女にお育てするつもりなのですわ!」

ドロテが茶色い尻尾をパタパタと振りながら、張り切って言った。

(よかった。ギルはそのまま採用なのね)

ギルは驚くほど知識が豊富で、ナタリアが知りたいことをなんでも教えてくれるから、これからもそばにいて欲しかったのだ。
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