悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
ある日の午後、庭園にあるテーブルにて、ナタリアは本を片手に物思いにふけっていた。

(このままいけば、お父様はきっと私の言うことを聞いてくれるわ)

リシュタルトに気に入られている自信はある。留学だって許してくれるだろうし、生活の援助も惜しみなくしてくれるだろう。

(でも、本当にそんなにうまくいくかしら……)

アリスが現れたら、すべてが変わってしまうかもしれない。

援助が断ち切られ、路頭に迷ったらどうしよう。

どんなにことが上手く進もうと、不安は常に離れない。

「ナタリア様、聞いていますか?」

ナタリアはハッと我に返った。

すぐ目の前で、ギルがじっとこちらを見ている。

「指定した箇所、まだ読み終わられていませんか? いつもより時間がかかっていますが」

そうだった、今はラエゾン語の勉強中だった。

「ごめんなさい、ちょっと考え事をしていて」

「ナタリア様の方からラエゾン語を習いたいとおっしゃられたのですよ? もっと集中してください」

「すみません……」
< 57 / 251 >

この作品をシェア

pagetop