悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
その後はリシュタルトの従者たちにより、ダスティンをはじめとした村の幹部数人が捕縛された。

夜明けを待って王都まで連行し、その後は投獄されるらしい。

悪人どもが次々と縄をかけられている頃、リシュタルトはナタリアのもとに戻ってきた。

「お父様、ドラドのお母さんはどうなるのですか……?」

ナタリアは瞳を潤ませながらリシュタルトを見上げる。

暗闇の中横たわる母ドラドに、リシュタルトも悲しげな視線を向けた。

「この地に丁重に葬り、石碑を建てる」

「私、何もできなかった……」

ひっくひっくと喉が震え、涙が止まらない。

泣きじゃくるナタリアを、リシュタルトは黙ってその胸に抱き寄せてくれた。

「お前はよくやった。こんなに小さいのに、子ドラドを守ろうとしたのだからな。夜中に勝手に抜け出したことを怒るべきなのかもしれないが、今回は見逃そう。俺の方こそ、もう少し早くドラドを見つけるべきだった」

あの冷血漢と名高い皇帝とは思えない優しい言葉に、平常時のナタリアだったら驚き喜んでいただろう。

だが今は母ドラドを守れなかった悔しさで、それどころではなかった。

リシュタルトはそれ以上何も言わず、いつまでも泣きじゃくるナタリアの傍に寄り添ってくれた。
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