溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 確率はかなり低いけれど、もしもこの質問を否定してくれたら、彼との結婚はまた別の意味を持つ。

 そうなったら、どんなに幸せだろう。期待するだけ無駄かもしれないのに、私はドキドキしながら彼の返事を待つ。

「欲しい」

 しかし、耳に飛び込んできたのは、私のささやかな望みを打ち砕く、残酷な答え。

「今すぐにでも、きみとの子が欲しい。すぐに入籍して一緒に住み始めて、妊活に入ろう。それまでに、少し体力をつけておいてくれ」

 た、体力……彼は一体どれ程のペースで子作りをするつもりなんだろう。

 処女ではないものの、経験値は決して高くない私が相手で、本当によかったのだろうか。

「わかりました。ご期待にそえるよう、頑張ります」

 半ばやけくそでそう宣言すると、部長はうれしそうに「よろしく」と呟いて、残りのファイルを片付ける作業に戻った。 

< 27 / 240 >

この作品をシェア

pagetop