エル・ディアブロの献身

 目元は見えないが口元には笑みが浮かんでいたので、口先だけの詫びを述べる。どうせ相手も、愛想笑いだろうから。

「えっと、じゃあ、そこに置いてもらえますか」

 くるりと振り返り、三和土(たたき)から数センチほどの段差を上がってすぐのところ、玄関マットの置いてあるそこを指でさした。
 けれど、宅配の人からの返事はなかった。

「……あ、の……っ」

 不思議に思って、視線をあげた。

「久しぶり」

 その先で見えたのは、「大きくて重い」と言っていたダンボール箱を高く持ち上げた宅配の人と、その人の()

「ハナちゃん」

 あ、あいつだ。

「っ!」

 そう思うが先か、高々と持ち上げられていた「大きくて重い」それが振り下ろされた。
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