溺愛過多~天敵御曹司は奥手な秘書を逃さない~
『……本気?』

『え?』

『本気で、俺に抱かれたいの?』


彼は先ほどまでの飄々とした緩い空気を引っ込め、目力を込めて私をジッと見据えてきた。
視線で射貫かれるという初めての感覚に、思わずこくりと喉を鳴らす。
膝の上で握りしめた手は、極度の緊張でじっとりと汗ばんでいた。


だけど――。
ここで怖気づいて、せっかくの勇気を無駄にしたらもったいない。


『はい。お願いしますっ……』


私は、半分以上自分自身に覚悟を刻みながら、彼に向かって深々と頭を下げた。


『……わかった。じゃ、行こう』


彼はカフェから出ると、今度は私をラブホテルに連れて行った。
もちろん、私は人生初のラブホテル。
男女がいかがわしいことをするための部屋だとわかっているから、心臓が猛烈に拍動を速めた。
ダブルベッドもガラス張りのシャワールームも、ベッドの前の大きな鏡も……自分の日常からは大きくかけ離れていて、緊張は極限に達した。
なのに。


『じゃ、始めよっか』


彼が粗末なソファに荷物をドサッと置くと、部屋の真ん中で立ち尽くす私に、随分と軽く声をかけてきた。


『っ、え?』


心臓が口から飛び出そうなほど跳ね上がり、一拍分反応が遅れた。
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