あの日、小猫と出会ったから
「しつこい」
俺はリフから目を逸らして無愛想に言った。触るな、放っておけ。期待させるな。
「黙って食え」
しかし、小猫は怯まなかった。
「だって、ジェイミー、泣きそうな顔してる」
くそ、よく見てる。
「飯が美味くて泣いてんだよ」
「嘘、下手だね」
笑わずにそう言い、リフは隣に来て俺の手を握った。
「何か、あったの?」
眼帯を外しているにも関わらず、まっすぐに見つめて来る瞳。オッドアイだと知りながら、屈託無く触れてくれる小さな手。
……温かい。
堪えられそうになく、俺はそっぽを向いて呟いた。
「こっち見んなよ」
「分かった」
素直に返事をして、リフは俺の腕をとんとんと叩く。
「これでいい?」
振り返ると、リフは目を閉じていた。一瞬戸惑って――俺は吹き出した。
「だめ? もっと強く閉じる?」
大真面目にそう尋ねて、奴はさらにぎゅっと目を閉じた。なかなか面白い顔になっている。
俺が声をたてて笑うと、リフはパチリと目を開けて抗議した。
「ひどいよ、ジェイミー。見るなって言うから目を閉じたのに」
見るなとは言ったが、目を閉じろとは言ってない。
「ったく、お前って天然だな」
「ひどいよ、僕は本気なのに」
ぷう、と膨れて口を尖らす。
「くやしいから、もう目閉じないもんね。見るなって言っても見るからね」
とん、と胸の奥に触れる幼い言葉。無形の矢で射られた傷が、すっと痛みを失う。
『見るなって言っても見るから』
そんな奴、居なかった。……そう言ってくれる人が、欲しかった。
「ほんと、お前って……」
声が途中で消えたのは、雨が強くなってきたから。俺の手を握る小さな手の上に降る、温かい雨が。
俺はリフから目を逸らして無愛想に言った。触るな、放っておけ。期待させるな。
「黙って食え」
しかし、小猫は怯まなかった。
「だって、ジェイミー、泣きそうな顔してる」
くそ、よく見てる。
「飯が美味くて泣いてんだよ」
「嘘、下手だね」
笑わずにそう言い、リフは隣に来て俺の手を握った。
「何か、あったの?」
眼帯を外しているにも関わらず、まっすぐに見つめて来る瞳。オッドアイだと知りながら、屈託無く触れてくれる小さな手。
……温かい。
堪えられそうになく、俺はそっぽを向いて呟いた。
「こっち見んなよ」
「分かった」
素直に返事をして、リフは俺の腕をとんとんと叩く。
「これでいい?」
振り返ると、リフは目を閉じていた。一瞬戸惑って――俺は吹き出した。
「だめ? もっと強く閉じる?」
大真面目にそう尋ねて、奴はさらにぎゅっと目を閉じた。なかなか面白い顔になっている。
俺が声をたてて笑うと、リフはパチリと目を開けて抗議した。
「ひどいよ、ジェイミー。見るなって言うから目を閉じたのに」
見るなとは言ったが、目を閉じろとは言ってない。
「ったく、お前って天然だな」
「ひどいよ、僕は本気なのに」
ぷう、と膨れて口を尖らす。
「くやしいから、もう目閉じないもんね。見るなって言っても見るからね」
とん、と胸の奥に触れる幼い言葉。無形の矢で射られた傷が、すっと痛みを失う。
『見るなって言っても見るから』
そんな奴、居なかった。……そう言ってくれる人が、欲しかった。
「ほんと、お前って……」
声が途中で消えたのは、雨が強くなってきたから。俺の手を握る小さな手の上に降る、温かい雨が。