あの日、小猫と出会ったから
白い捨て猫と悪戯小猫
「アイは、捨て猫だったんだ」
 飯が済んだ後、リフに寄り添って寝ているアイの背中を撫でながら、俺は相棒との出会いを話し出した。
「箱に入れられて、ゴミ捨て場に捨てられてた。カラスが箱を突いていたから何だろうって気になって、開けたら中に怯えている仔猫がいた」
 リフの瞳にロウソクの明りが映る。水面が揺らめいているみたいで綺麗だ。
「どうして捨てられたか、すぐに分かった。俺と同じ、オッドアイだったから」
 今でも覚えている。耳をぺたんと寝かせて、怯えながら噛み付いてきた真っ白な仔猫を。
「放っておけなかった。例え自己満足だとしても」
 もう撫でるな、と言いたげにアイは毛繕いを始める。
「小さい頃はよくいじめられていた。化け猫って言われて石をぶつけられたり、水を掛けられたり」
「いじめ……」
「人に慣れさせたせいだと後悔した。でも、アイはそのうち、危険な人間とそうでない人間を上手に見極めるようになった。賢い猫だよ」
 褒められてるのが分かるのか、アイはくいと胸をそらせる。かと思うと、えっぺえっぺと胸もとの毛繕いを始めた。賢さを自慢したわけではないようだ。
「じゃあ、僕は危険じゃないって見てもらえたんだね」
 リフが嬉しそうに笑う。
「そういう事」
「嬉しいな。ありがとう、アイ。僕もアイが大好きだよ」
 あごの下をくすぐられて、アイはごろごろと喉を鳴らす。何だか俺まで嬉しくなる。
「ジェイミーも」
「え?」
 聞き返した俺に、リフは満面の笑みで続けた。
「僕、ジェイミーの事も大好きだよ」
 嬉しい、と同時に大変不安になる。
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