あの日、小猫と出会ったから
澄んだ青空、届きそうな雲
天候ゆえの急な予定変更はシェリフに知らされていなかったらしく、今日一日俺がお世話係を仰せつかった事を聞いた小猫は、喜びのあまり兄猫やアークさんに飛び付いた。
「ほんと? ほんとに今日、僕、ジェイミーと居られるの?」
「本当です、シェリフ様。ナイジェル様がお決めになりました」
言の端に不服そうな色を滲ませて、アークさんが答える。シェリフ殿下一筋の忠実なる騎士殿としては、どこの馬の骨とも分からぬ異国人に自分の仕事を取られた感じで面白くないのかもしれない。
歓声を上げてナイジェルに抱きついた後、シェリフは俺の前に来て無邪気な笑顔を見せた。
「ね、何する? ジェイミー」
「そうだな、何をしようか」
「嬉しいなあ。楽しみだね!」
俺の手を握って楽しそうに振り回す、ご機嫌なシェリフ。俺は複雑な思いで曖昧な笑みを返した。
心が晴れない理由は二つある。
『もう、全部、嫌だ』
昨夜の、心底苦しそうな小猫の呟き。今目の前にあるキラキラしたこの笑顔は、本心なのか作り物なのか。
そしてもう一つ。
『本当にこのままでいいのか?』
明け方、俺の服を掴んだまま眠っているシェリフを見ているうちに、自分にそう問い掛けていた。
お前は本当に、胸を張ってこいつの友達だと言えるのか?
この先ずっと、人を騙し、人から奪い、言い訳し続け、“自分”から逃げて生きていくのか?
本当に、お前はこのままでいいのか……?
「どうしたの、ジェイミー」
はっと我に返り、何食わぬ顔で笑いかける。
「何でもない。シェリフは何したい?」
ナイジェルが俺の敬語無し許可を全員に言い渡してくれたので、タメで喋っても誰も咎めたりしない。お陰で気兼ねなく話せる。ありがたい事だ。
「えとね、僕、アイに会いに行きたい」
「しゃれですか、殿下」
わざとからかうと、小猫はぷうとふくれた。かと思うと、満面の笑みを浮かべて俺を見上げる。昨日の泣き顔は夢だったのかと錯覚するほどの笑顔で。
「ほんと? ほんとに今日、僕、ジェイミーと居られるの?」
「本当です、シェリフ様。ナイジェル様がお決めになりました」
言の端に不服そうな色を滲ませて、アークさんが答える。シェリフ殿下一筋の忠実なる騎士殿としては、どこの馬の骨とも分からぬ異国人に自分の仕事を取られた感じで面白くないのかもしれない。
歓声を上げてナイジェルに抱きついた後、シェリフは俺の前に来て無邪気な笑顔を見せた。
「ね、何する? ジェイミー」
「そうだな、何をしようか」
「嬉しいなあ。楽しみだね!」
俺の手を握って楽しそうに振り回す、ご機嫌なシェリフ。俺は複雑な思いで曖昧な笑みを返した。
心が晴れない理由は二つある。
『もう、全部、嫌だ』
昨夜の、心底苦しそうな小猫の呟き。今目の前にあるキラキラしたこの笑顔は、本心なのか作り物なのか。
そしてもう一つ。
『本当にこのままでいいのか?』
明け方、俺の服を掴んだまま眠っているシェリフを見ているうちに、自分にそう問い掛けていた。
お前は本当に、胸を張ってこいつの友達だと言えるのか?
この先ずっと、人を騙し、人から奪い、言い訳し続け、“自分”から逃げて生きていくのか?
本当に、お前はこのままでいいのか……?
「どうしたの、ジェイミー」
はっと我に返り、何食わぬ顔で笑いかける。
「何でもない。シェリフは何したい?」
ナイジェルが俺の敬語無し許可を全員に言い渡してくれたので、タメで喋っても誰も咎めたりしない。お陰で気兼ねなく話せる。ありがたい事だ。
「えとね、僕、アイに会いに行きたい」
「しゃれですか、殿下」
わざとからかうと、小猫はぷうとふくれた。かと思うと、満面の笑みを浮かべて俺を見上げる。昨日の泣き顔は夢だったのかと錯覚するほどの笑顔で。